労働保険 保険関係成立届の書き方|提出期限・概算保険料の手続

この記事の要点

初めて労働者を雇ったときの労働保険保険関係成立届について、役員だけの会社との違い、10日以内の期限、成立年月日、主な記入項目、概算保険料申告書や雇用保険手続との順番を整理します。

「労働保険 保険関係成立届」は、会社・事業を労災保険と雇用保険の適用事業として登録する最初の届出です。会社を設立した日ではなく、原則として労働者を初めて雇ったときに保険関係が成立します。

社会保険の新規適用届、雇用保険適用事業所設置届、従業員本人の資格取得届とは別の書類です。名前が似ていますが、会社側の手続と本人の手続、労働保険と社会保険を分けて確認してください。

この記事は2026年9月4日時点の厚生労働省・労働局の案内を基に、一般の会社・店舗などの継続事業を中心に説明しています。建設、農林水産などは提出先や保険料申告の扱いが異なるため、管轄の労働基準監督署またはハローワークでも確認してください。

保険関係成立届が必要になる事業

常勤、パート、アルバイトなどの名称や雇用形態を問わず、労働者を1人でも雇う事業は、原則として労働保険の成立手続が必要です。労災保険は短時間労働者を含むすべての労働者が対象なので、週20時間未満などの理由で雇用保険へ入らない人だけを雇う場合でも、労災保険の成立手続は確認します。

一方、代表取締役などの法人役員は、一定の場合を除き労災保険・雇用保険の対象となりません。役員しかおらず労働者がいない会社では、通常、保険関係成立届は提出しません。役員報酬を受けて社会保険に加入していても、労働保険の判断は別です。

役員でありながら部長・支店長など従業員としての身分も持つ兼務役員や、業務委託という名称でも実態が指揮監督下の労働に当たる人は、契約名だけで判断できません。勤務実態や賃金の支払方法を整理し、必要に応じて管轄窓口へ確認します。

成立年月日は会社設立日とは限らない

保険関係成立年月日は、事業が労働保険の適用対象となった日です。役員だけで始めた会社が後から初めて従業員を雇った場合は、通常、その従業員を雇い入れた日を基準にします。会社の設立登記日や社会保険の適用年月日を、そのまま写すものではありません。

提出期限は、保険関係が成立した日の翌日から数えて10日以内です。届出が遅れても、保険関係そのものは労働者を雇った日に法律上成立します。遅れに気づいた場合は日付を後ろへずらさず、管轄窓口へ相談して速やかに提出してください。

4つの書類は役割と期限が違う

一般の会社が初めて雇用保険の対象となる従業員を雇った場合は、次の順番で確認します。

書類役割主な期限
労働保険 保険関係成立届会社・事業の労働保険関係を成立させる成立日の翌日から10日以内
労働保険 概算保険料申告書年度末までの賃金見込額から保険料を申告・納付する成立日の翌日から50日以内
雇用保険 適用事業所設置届会社・事業所を雇用保険の適用事業所として登録する設置日の翌日から10日以内
雇用保険 被保険者資格取得届雇用保険へ入る従業員本人を登録する資格取得月の翌月10日まで

まず保険関係成立届を提出し、交付された労働保険番号を後続手続で使います。概算保険料申告書は、保険関係成立届の後または同時に提出できます。雇用保険の設置届と資格取得届は、保険関係成立届の事業主控などを確認しながらハローワークで進めます。

短時間労働者などで雇用保険の加入条件を満たす人がいない場合、労災保険の成立手続は必要でも、雇用保険適用事業所設置届や資格取得届は不要となることがあります。

一元適用事業と二元適用事業で提出先が変わる

一般の会社、事務所、店舗などの多くは「一元適用事業」です。労災保険と雇用保険の保険料を一つの労働保険関係として扱い、保険関係成立届は原則として事業所所在地を管轄する労働基準監督署へ提出します。

建設、農林水産、港湾運送、都道府県・市区町村などの事業は「二元適用事業」に該当し、労災保険と雇用保険を別々に扱います。労災保険分は労働基準監督署、雇用保険分はハローワークで手続するなど提出経路が変わります。工事ごとに成立する有期事業では、概算保険料申告の期限が20日以内となる場合もあるため、一般の50日という期限だけで進めないでください。

電子申請にも対応しています。厚生労働省はe-Gov用の利用マニュアルを公開していますが、電子申請でも一元・二元の区分や提出先を先に確認する必要があります。

主な記入項目

項目確認する内容
労働保険番号初回の成立届ではまだ発行されていないため、自己判断で番号を記入しない
保険関係成立年月日初めて労働者を雇った日など、実際に適用対象となった日
事業の種類実際の事業内容を、労災保険率の区分と照合して記入する
事業所の名称・所在地登記上の本店だけでなく、実際に事業を行い労働者が働く場所を確認する
法人番号13桁の法人番号。会社法人等番号12桁と混同しない
常時使用労働者数正社員だけでなく、パート・アルバイトなどを含む実態人数を確認する
雇用保険被保険者数雇用保険の加入条件を満たす人数。常時使用労働者数と同じとは限らない
事業主事業主の住所、氏名、電話番号を根拠資料と一致させる

「事業の種類」は、会社の定款に書かれた目的をすべて並べるのではなく、実際に行う主な事業から確認します。事業の種類によって労災保険率が変わるため、迷う場合は自己判断で近い名称を選ばず、労働基準監督署へ確認してください。

添付書類と提出前に準備するもの

保険関係成立届の確認資料は、提出方法や管轄窓口の案内によって異なることがあります。事業内容・所在地・雇用実態の確認や、続けて雇用保険適用事業所設置届を提出する場合に備え、次の資料を用意しておくと手続が止まりにくくなります。

  • 法人の登記事項証明書や法人番号を確認できる資料
  • 事業所が登記住所と異なる場合の賃貸借契約書など
  • 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿またはタイムカード
  • 雇用契約書や労働条件通知書
  • 初めて労働者を雇った日と、年度末までの賃金見込額
  • 実際の事業内容、事業所所在地、電話番号、常時使用する人数

雇用保険適用事業所設置届では、登記事項証明書、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などの確認資料が案内されています。保険関係成立届だけの添付書類と混同せず、提出する書類ごとに管轄窓口の案内を確認してください。

よくある間違い

  • 役員しかいない会社で、社会保険と同じ感覚で労働保険も成立させる
  • 役員だけだった期間の会社設立日を、成立年月日として記入する
  • パートが雇用保険へ入らないため、労災保険の成立手続も不要だと判断する
  • 初回なのに、まだ発行されていない労働保険番号を必須だと思って入力する
  • 保険関係成立届だけで、概算保険料申告や雇用保険の設置・資格取得まで完了したと思う
  • 一元適用と二元適用を確認せず、提出先や申告期限を間違える
  • 登記上の本店所在地と、実際に労働者が働く事業所所在地を混同する

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読んだあとの確認

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自社の状況に当てはめるときに迷いやすい点と、次に進めるページをまとめました。

よくある質問

会社の設立日を保険関係成立年月日に記入しますか?
必ずしも設立日ではありません。役員だけだった会社が初めて従業員を雇った場合は、通常、その従業員を雇い入れて労働保険の適用対象となった日を確認します。
役員しかいない会社でも保険関係成立届が必要ですか?
法人役員は一定の場合を除き労災保険・雇用保険の対象ではないため、労働者がいない役員だけの会社では通常は提出しません。兼務役員は勤務実態から別に判断します。
雇用保険に入らない短時間労働者だけでも届出が必要ですか?
労災保険は短時間労働者を含むすべての労働者が原則対象です。そのため雇用保険の加入条件を満たす人がいなくても、労災保険の成立手続は確認する必要があります。

迷いやすいポイント

  • 最初の労働者を雇った日と、会社の設立登記日を分けて確認します。
  • 常時使用する人数と雇用保険へ加入する人数を別々に集計します。
  • 一元適用・二元適用の区分から、提出先と後続手続の順番を確認します。

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