初めて従業員を雇う会社の労働保険・雇用保険手続き

この記事の要点

初めて従業員を雇う会社が行う労働保険の保険関係成立届、概算保険料申告、雇用保険適用事業所設置届、資格取得届を期限順に整理します。

結論:会社の成立手続きを先に、従業員の資格取得を続けて行います

これまで従業員がいなかった会社が初めて労働者を雇うと、原則として労働保険の保険関係が成立します。

一般的な事務所や店舗などの一元適用事業では、次の順で進めます。

  1. 労働保険 保険関係成立届
  2. 労働保険 概算保険料申告書
  3. 雇用保険 適用事業所設置届
  4. 雇用保険 被保険者資格取得届

「労働保険」は労災保険と雇用保険の総称ですが、労災保険の対象者と雇用保険の被保険者は同じ範囲ではありません。

労働者が1人でもいれば原則として対象

正社員だけでなく、パートやアルバイトを1人でも雇い、賃金を支払う場合、原則として労災保険の適用事業になります。

労災保険は、労働時間の長短にかかわらず、原則としてすべての労働者が対象です。一方、雇用保険には所定労働時間や雇用見込みなどの加入条件があります。

農林水産業の一部には暫定任意適用があり、建設業や農林漁業などは労災保険と雇用保険を分けて処理する二元適用事業になることがあります。

一元適用事業の主な手続きと順番

順番手続き期限主な提出先
1労働保険 保険関係成立届保険関係成立日の翌日から10日以内管轄労働基準監督署
2労働保険 概算保険料申告書保険関係成立日の翌日から50日以内労働基準監督署、労働局、金融機関等
3雇用保険 適用事業所設置届設置日の翌日から10日以内管轄ハローワーク
4雇用保険 被保険者資格取得届資格取得月の翌月10日まで管轄ハローワーク

原則として、保険関係成立届の手続きを行った後、または同時に概算保険料を申告し、その後にハローワークへ事業所設置届と資格取得届を提出します。

概算保険料は年度末までの賃金見込みで計算

新たに保険関係が成立した年度は、成立日から翌年3月31日までに支払う予定の賃金総額を見積もり、保険料率をかけて概算保険料を計算します。

翌年度の年度更新で、実際に支払った賃金総額に基づいて確定し、概算額との差を精算します。

役員報酬、労働者への賃金、雇用保険の対象外となる人への賃金では、保険料計算上の扱いが異なる場合があります。

雇用保険の加入対象

2026年8月14日時点では、原則として次の両方を満たす労働者が対象です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用される見込みがある

試用期間中でも条件を満たせば対象です。昼間学生や法人の代表者など、適用除外となる場合があります。

2028年10月1日から、週の所定労働時間の基準を20時間以上から10時間以上へ拡大する改正が施行される予定です。公開後も制度改正に合わせて更新が必要です。

準備する主な情報・書類

事業所について

  • 会社名・所在地・法人番号
  • 事業の種類と事業開始日
  • 最初の労働者を雇い入れた日
  • 賃金の締日・支払日
  • 労働者数
  • 年度末までの賃金見込額
  • 登記事項証明書、賃貸借契約書など事業実態を確認できる資料

従業員について

  • 氏名、生年月日、住所
  • 雇入日
  • 週の所定労働時間
  • 契約期間と更新予定
  • 賃金
  • 雇用保険被保険者番号
  • 雇用契約書、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿

管轄ハローワークや提出方法によって確認資料が異なるため、事前に最新案内を確認します。

社会保険の手続きも別に確認

労働保険の成立手続きをしても、健康保険・厚生年金保険の資格取得は完了しません。

採用した従業員が社会保険の加入対象であれば、別途「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を原則5日以内に日本年金機構へ提出します。

よくある間違い

アルバイト1人なので労働保険は不要だと思う

雇用形態の名称にかかわらず、労働者を1人でも雇えば、原則として労働保険の成立手続が必要です。

雇用保険に入らない短時間勤務者なので、労災保険も不要だと思う

労災保険は短時間労働者を含む原則すべての労働者が対象です。雇用保険の加入条件とは分けて判断します。

個人の資格取得届だけを提出する

初めて雇用保険対象者を雇う事業所では、事業所設置届も必要です。その前提となる労働保険の成立手続も確認します。

成立日を提出日だと思う

原則として、最初の労働者を雇った日など、保険関係が成立した事実の日が基準です。手続きを遅らせても成立日が後ろへ移るわけではありません。

自社に必要な事業所手続きを確認したいとき

新規設立、法人化、初めての雇用など、会社の状況によって必要な届書の組み合わせが変わります。

事業所として必要な手続きを整理したい場合は、テツヅキットの「会社を作った・変えた」無料診断で確認できます。採用する個人については、「役員・従業員が入った」無料診断で加入条件と資格取得手続きを確認できます。

テツヅキットは提出や申請を代行せず、利用者自身が必要な手続きを確認し、書類を作成するための支援サービスです。

従業員を雇ったときの社会保険・雇用保険手続き一覧もあわせて確認してください。

公式情報

制度の一般的な説明です。業種、事業形態、役員・親族の労働実態などで判断が変わる場合は、管轄の労働基準監督署、ハローワークまたは専門家へ確認してください。

読んだあとの確認

この記事と一緒に確認

自社の状況に当てはめるときに迷いやすい点と、次に進めるページをまとめました。

よくある質問

役員しかいない会社でも労働保険の成立手続は必要ですか?
労働者がいない役員だけの会社では、通常は労働保険の成立手続を行いません。社会保険の加入手続とは分けて確認する必要があります。
パートを1人雇うだけでも労働保険の手続が必要ですか?
労働者を1人でも雇う事業は、原則として労災保険の対象です。雇用保険へ加入するかは、所定労働時間や雇用見込みなどを別に確認します。
会社の保険番号がまだない場合は、どの手続から始めますか?
まず会社側の労働保険の成立手続を行い、必要な番号の発行後に続く事業所・従業員の届出を進めます。初回と後続の入力を分けてください。

迷いやすいポイント

  • 役員だけの会社と、初めて従業員を雇う会社では必要な届出が異なります。
  • 労災保険の対象と雇用保険の加入対象は、同じ範囲ではありません。
  • 会社の成立手続と従業員本人の資格取得手続を分けて確認します。

自社の場合を確認する

役員だけか従業員もいるか、保険番号が発行済みかに応じた確認内容をまとめています。

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