従業員を雇ったときの手続き一覧|社会保険・雇用保険の期限

この記事の要点

従業員を雇った会社が確認すべき健康保険・厚生年金、雇用保険、扶養の手続きを、期限・提出先・準備情報とともに整理します。初めて従業員を雇う会社は、労働保険の成立手続も必要です。

結論:入社後ではなく、採用を決めた時点から準備します

従業員を雇ったときは、主に次の3点を別々に確認します。

  1. 健康保険・厚生年金保険に加入する人か
  2. 雇用保険に加入する人か
  3. その会社で初めて従業員を雇うため、労働保険の成立手続も必要か

保険ごとに加入条件と提出期限が違います。「パートだから不要」「試用期間が終わってからでよい」と決めつけると、届出漏れにつながります。

この記事は2026年8月14日時点の制度をもとに、小規模会社が最初に確認する内容を整理したものです。個別の加入可否は、雇用契約や勤務実態によって変わります。

まず確認する3つの条件

1. 会社が社会保険の適用事業所か

すべての法人事業所は、事業主だけの場合を含め、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。個人事業所は、常時使用する人数や業種などによって扱いが異なります。

2. 従業員が健康保険・厚生年金保険の加入対象か

正社員だけでなく、通常の労働者と比べて週の所定労働時間と月の所定労働日数が4分の3以上の人は、原則として加入対象です。

4分の3未満の短時間労働者でも、事業所規模、週の所定労働時間、雇用見込み、賃金、学生かどうかなどの条件により加入対象になります。短時間労働者の要件は改正が続いているため、公開時点の最新条件で判断してください。

3. 従業員が雇用保険の加入対象か

2026年8月14日時点では、原則として次の両方を満たす労働者が対象です。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用される見込みがある

昼間学生や法人の代表者など、対象外となる場合があります。本人が加入を希望するかどうかだけで決める制度ではありません。

主な手続きと期限

手続き主な対象期限提出先
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届社会保険の加入対象者事実発生から5日以内事務センターまたは管轄年金事務所
健康保険 被扶養者(異動)届加入者に扶養する家族がいる場合事実発生から5日以内事業主を経由して事務センターまたは年金事務所
雇用保険 被保険者資格取得届雇用保険の加入対象者被保険者となった月の翌月10日まで管轄ハローワーク
労働保険 保険関係成立届会社で初めて労働者を雇う場合など保険関係成立日の翌日から10日以内原則として労働基準監督署
労働保険 概算保険料申告書新たに保険関係が成立した事業保険関係成立日の翌日から50日以内労働基準監督署、労働局、金融機関等

建設業や農林水産業などは、労災保険と雇用保険の手続きを分ける「二元適用事業」となることがあります。

会社が先に集めておきたい情報

資格取得届などを作る前に、次の情報を本人と雇用契約書から確認します。

  • 氏名、フリガナ、生年月日、住所
  • マイナンバーまたは基礎年金番号
  • 入社日と実際に働き始める日
  • 契約期間、更新予定
  • 週の所定労働時間、月の所定労働日数
  • 基本給、固定手当、通勤手当など報酬の内訳
  • 過去の雇用保険被保険者番号
  • 扶養に入れる家族の続柄、収入見込み、同居・別居

マイナンバーは利用目的を明確にし、必要な担当者だけが扱える方法で保管します。

添付書類は一律ではありません

社会保険の資格取得届は、通常は添付書類が不要ですが、60歳以上の退職後再雇用、国保組合への継続加入など、状況によって追加書類が必要です。

雇用保険では、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、雇用契約書など、加入日や労働条件を確認できる資料を求められることがあります。提出方法や期限超過の有無でも必要資料が変わるため、最新の案内を確認してください。

よくある間違い

試用期間が終わるまで届出を待つ

試用期間中でも、雇用関係があり報酬が支払われ、加入要件を満たす場合は対象です。本採用日ではなく、実際の資格取得日を確認します。

パート・アルバイトは全員対象外だと思う

名称ではなく、労働時間、労働日数、雇用見込み、事業所規模などで判断します。

社会保険と雇用保険を同じ基準で判断する

両者は加入条件も提出期限も違います。一方だけ対象になることもあります。

扶養家族の届出を後回しにする

被扶養者の認定には、続柄や収入を確認する書類が必要になることがあります。入社前から本人へ案内しておくと、届出の遅れを防ぎやすくなります。

自社に必要な手続きが分からないとき

入社する人の雇用形態や扶養家族の有無によって、必要な届書は変わります。

自社でどの手続きが必要か分からない場合は、テツヅキットの「役員・従業員が入った」無料診断で確認できます。テツヅキットは申請を代行するものではなく、利用者自身が必要な手続きを確認し、書類を作成するための支援サービスです。

会社で初めて従業員を雇う場合は、初めて従業員を雇う会社の労働保険・雇用保険手続きもあわせて確認してください。

入社から退職までの手続きを一つの流れで管理したい場合は、従業員が退職したときの手続き一覧もあわせて整理しておくと安心です。

今後の改正

  • 厚生労働省は、短時間労働者の社会保険に関する月額8.8万円以上の賃金要件を2026年10月に撤廃予定と案内しています。法的な施行日は、2025年改正法の公布日から3年以内の政令で定める日です。正式な施行日は、公開時点の最新の公式情報をご確認ください。
  • 雇用保険は、2028年10月1日から週の所定労働時間の基準を20時間以上から10時間以上へ広げる改正が予定されています。

公式情報

制度の一般的な説明であり、個別案件の法的判断や提出の代理を行うものではありません。不明点は管轄の年金事務所、ハローワーク、労働基準監督署または専門家へ確認してください。

読んだあとの確認

この記事と一緒に確認

自社の状況に当てはめるときに迷いやすい点と、次に進めるページをまとめました。

よくある質問

試用期間中でも社会保険・雇用保険の手続は必要ですか?
試用期間であることだけを理由に対象外にはなりません。入社日から雇用関係があり、それぞれの加入条件を満たす場合は手続を確認します。
パート・アルバイトなら保険へ加入しなくてもよいですか?
呼び方だけでは決まりません。週の所定労働時間、月の所定労働日数、雇用見込み、会社規模などを、社会保険と雇用保険で分けて確認します。
役員と従業員は同じ書類で手続できますか?
同じとは限りません。役員か従業員か、実際の働き方、会社が現在設置している保険によって必要な届出が変わるため、一人ずつ確認します。

迷いやすいポイント

  • 入社する人が役員か従業員かで、対象になる保険が変わります。
  • 社会保険と雇用保険は、同じ勤務条件で判断する制度ではありません。
  • 会社で初めて従業員を雇う場合は、個人の資格取得だけでなく会社側の開始手続も確認します。

自社の場合を確認する

役員・従業員が入ったときに確認する書類と、診断で確認する内容をまとめています。

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