労働保険 概算保険料申告書の書き方|賃金見込額・計算・50日の期限
この記事の要点
初めて労働者を雇ったときの労働保険概算保険料申告書について、年度末までの賃金見込額、労災保険と雇用保険の対象者、保険料率、端数処理、50日以内の申告・納付、延納の条件を整理します。
「労働保険 概算保険料申告書」は、新しく労働保険の保険関係が成立した事業が、その年度末までに支払う賃金の見込額を基に、労働保険料を申告・納付するための書類です。
会社や事業所を登録する「保険関係成立届」とは役割が異なります。成立届を提出しただけでは保険料の申告・納付は終わらないため、初めて労働者を雇ったときは一組の手続として確認します。
この記事は2026年9月4日時点の厚生労働省・労働局の案内を基に、一般の会社・店舗などの継続事業を中心に説明しています。建設工事などの有期事業や二元適用事業は、申告期限や提出先、計算方法が異なる場合があります。
いつまでに申告・納付するのか
新しく保険関係が成立した継続事業では、原則として成立日から50日以内に概算保険料申告書を提出し、概算保険料を納付します。期間計算では初日を算入しないため、実務上は成立日の翌日から数えます。
保険年度は毎年4月1日から翌年3月31日までです。年度途中に初めて労働者を雇った場合は、保険関係成立日からその年度の3月31日までを対象期間にします。12か月分を機械的に見積もるのではありません。
保険関係成立届は成立日の翌日から10日以内、概算保険料申告書は50日以内です。同じ期限ではないため、成立届を先に提出して労働保険番号を確認し、概算保険料申告書と納付書を続けて準備します。
概算保険料の基本的な考え方
概算保険料は、対象期間中に支払う賃金総額の見込額へ、その年度と事業種類に対応する保険料率を掛けて計算します。
| 確認する内容 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 対象期間 | 保険関係成立日から、その年度の3月31日まで |
| 賃金総額の見込額 | 対象期間中に労働者へ支払う見込みの賃金を合計する |
| 算定基礎額 | 賃金総額の見込額から1,000円未満を切り捨てる |
| 保険料率 | 申告対象年度の労災保険率・雇用保険率を確認する |
| 概算保険料額 | 算定基礎額に保険料率を掛け、1円未満を切り捨てる |
保険料率は年度や事業の種類で異なります。前年の申告書やインターネット上の古い計算例をそのまま使わず、申告する年度の厚生労働省の保険料率表を確認してください。
概算で納めた保険料は、年度終了後の年度更新で実際の賃金総額を基に確定し、過不足を精算します。概算保険料申告書は、最初から実額を確定する書類ではありません。
賃金見込額に含めるもの
労働保険の賃金総額は、名称にかかわらず労働の対償として支払うものを基礎にします。基本給だけでなく、時間外手当、通勤手当、賞与などを含めて見込みます。税金や社会保険料を控除する前の総支給額で考えます。
一方、実費弁償として支払う出張旅費や、労働者性のない役員へ支払う役員報酬などは、通常の労働者の賃金と同じには扱いません。兼務役員は、役員報酬と従業員としての賃金を分けて確認します。
採用予定者の人数、月給・時給、各種手当、賞与予定、入社予定日から年度末までの月数を一覧にすると、見込み漏れを防ぎやすくなります。実際に支払った賃金と大きくずれても年度更新で精算されますが、根拠なく少なく見積もるのは避けてください。
労災保険と雇用保険では対象者が違う
労災保険は、短時間勤務のパート・アルバイトを含むすべての労働者が原則として対象です。雇用保険は、週の所定労働時間や雇用見込みなどの加入条件を満たす人が対象です。
そのため、雇用保険へ入らない短時間労働者がいる場合、労災保険分の賃金総額と雇用保険分の賃金総額が同じにならないことがあります。すべての従業員の賃金を一律に両方へ入れたり、反対に短時間労働者を労災保険分から外したりしないようにします。
役員だけで労働者がいない会社では、通常、労働保険の保険関係自体が成立していないため、概算保険料申告書も作成しません。社会保険へ加入していることだけを理由に、この申告書を追加しないでください。
主な記入項目
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 労働保険番号 | 保険関係成立届の事業主控に記載された番号を転記する |
| 保険料算定基礎額の見込額 | 年度末までの賃金見込額を区分し、1,000円未満を切り捨てる |
| 保険料率 | 申告年度と実際の事業種類に対応する率を使用する |
| 概算保険料額 | 算定基礎額と料率から計算し、1円未満を切り捨てる |
| 保険関係成立年月日 | 保険関係成立届の成立年月日と一致させる |
| 事業又は作業の種類 | 実際に行う主な事業を具体的に記入する |
| 法人番号 | 法人は13桁。会社法人等番号12桁と区別する |
| 延納の申請 | 条件を満たし分割納付を希望するときだけ回数を記入する |
初回の労働保険番号は、保険関係成立届の提出によって割り振られます。法人番号や雇用保険事業所番号を代わりに記入せず、成立届の事業主控を確認してください。
延納できる場合と回数
継続事業では、概算保険料額が40万円以上の場合、または労働保険事務組合へ事務を委託している場合、申請により分割納付できることがあります。労災保険・雇用保険のいずれか一方だけが成立している事業は20万円以上が基準です。
ただし、年度途中の成立日によって納付回数が変わります。一般的な記入例では、4月1日から5月31日までの成立は3回、6月1日から9月30日までは2回、10月1日以降は1回とされています。金額だけで3回を選ばず、成立日と事業区分を併せて確認します。
提出先と納付先
一元適用の継続事業では、概算保険料申告書を所轄の労働基準監督署または都道府県労働局へ提出します。申告書と納付書に保険料を添え、日本銀行の本店・支店・代理店・歳入代理店となっている金融機関で申告・納付する方法も案内されています。
電子申請や電子納付も利用できます。提出方法により使う様式や納付手順が変わるため、紙の領収済通知書へ記入する場合は、金額の訂正ができない欄を特に慎重に確認してください。
建設、農林水産などの二元適用事業では、労災保険分と雇用保険分を分け、提出先も異なることがあります。有期事業には50日ではなく20日以内となる場合があるため、このページの継続事業向け期限だけで判断しないでください。
よくある間違い
- 保険関係成立届だけを提出し、概算保険料の申告・納付を忘れる
- 会社設立日から12か月分を見積もり、成立日から年度末までの期間になっていない
- 労働者の基本給だけを集計し、手当や賞与の見込みを入れない
- 雇用保険へ入らない短時間労働者を、労災保険分の賃金からも外す
- 役員しかいない会社で、社会保険と同じ感覚で概算保険料申告書を作る
- 前年度の古い保険料率や別業種の労災保険率を使う
- 法人番号、労働保険番号、雇用保険事業所番号を混同する
- 成立日と金額を確認せず、延納回数を選ぶ
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