退職証明書の書き方・発行方法|記載事項・期限・離職票との違い

この記事の要点

退職者から退職証明書を求められたときの会社側の対応について、労働基準法22条、遅滞なく交付する義務、本人が請求した記載事項だけを書くルール、退職理由の選び方、離職票・離職証明書との違いを整理します。

「退職証明書」は、退職した労働者が会社で働いていた期間、業務の種類、役職、賃金、退職理由などを証明する書類です。労働基準法22条により、退職者が請求したとき、会社は遅滞なく交付しなければなりません。

会社が全員へ自動的に渡す法定書類ではありませんが、請求を受けたら任意で断れる書類でもありません。また、会社が書きたい情報をすべて記載するのではなく、退職者が請求した事項だけを記載することが重要です。

この記事は2026年9月4日時点の厚生労働省・労働局の案内を基にしています。退職理由に争いがある場合や解雇に関する証明は、事実関係を確認したうえで、管轄の労働基準監督署や専門家へ相談してください。

会社に発行義務が生じる場面

すでに退職した労働者から証明書を請求された場合、会社は遅滞なく交付します。正社員だけでなく、契約社員、パート・アルバイトなど、労働基準法上の労働者であった人が対象になります。

会社独自の申請書を出していない、転職先の名称や利用目的を説明していないという理由だけで発行を拒むことは適切ではありません。請求方法を書面に統一する場合も、退職者が手続しやすい案内にし、不要な個人情報を求めないようにします。

退職者が請求できる権利は、退職から2年で時効になります。ただし、請求を受けてから2年以内なら発行を先延ばしにしてよいという意味ではありません。請求を受けたら、社内記録を確認して遅滞なく交付します。

記載できる5つの事項

退職証明書へ記載できる主な事項は次の5つです。退職者がこのうち一部だけを請求した場合、請求されていない事項を会社の判断で追加してはいけません。

  1. 使用期間(在職期間)
  2. 業務の種類
  3. その事業における地位(役職・職位など)
  4. 賃金
  5. 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)

例えば、退職者が「在職期間と業務の種類だけ」を希望した場合、賃金や退職理由は記載しません。将来の就職を妨げる目的で、秘密の記号や、請求されていない評価・勤務態度などを加えることも禁止されています。

厚生労働省のモデル退職証明書では、退職理由について、自己都合、契約期間満了、定年、移籍出向、勧奨退職、解雇などの区分から該当箇所を選び、必要に応じて具体的事情を記載する構成です。モデル様式は参考であり、必要事項が明確なら会社独自の様式も使用できます。

退職理由は本人の認識と資料を確認する

退職理由は、失業給付や転職先での確認に影響する可能性があるため、曖昧な表現を避けます。退職届、雇用契約書、更新通知、定年規程、退職勧奨の記録、解雇通知書などと照合します。

実際の経緯退職理由の例
労働者本人の意思による退職自己都合による退職
有期契約が更新されず満了契約期間満了による退職
就業規則の定年に到達定年による退職
会社が退職を勧め、本人が応じた退職勧奨による退職
会社が一方的に労働契約を終了解雇(具体的理由も確認)

名称だけで決めず、実際の経緯を記載します。特に、退職勧奨と自己都合、契約期間満了と雇止め、解雇の区別は、会社と本人の認識がずれやすい部分です。見解が一致しない場合は、証拠を残し、事実と異なる内容を作らないようにします。

解雇理由証明書との違い

解雇予告を受けた労働者は、退職日より前でも、解雇の理由について証明書を請求できます。会社は遅滞なく交付する必要があります。ただし、解雇予告後に別の理由で退職した場合、解雇予定日以後はこの規定による交付義務の対象外になります。

通常の退職証明書と同じく、請求されていない事項を追加しません。解雇理由は「就業規則違反のため」のような抽象的な表現だけで済ませず、根拠となる就業規則の条項や認定した事実を確認します。

離職票・離職証明書とは別の書類

書類主な目的作成・提出の流れ
退職証明書在職期間や退職理由などを会社が証明する退職者の請求に応じて会社が本人へ交付
雇用保険被保険者離職証明書ハローワークが離職理由や賃金を確認する会社が資格喪失届とともにハローワークへ提出
離職票退職者が基本手当等の手続に使用するハローワークが会社を経由するなどして退職者へ交付

離職票を交付したから退職証明書を発行しなくてよい、または退職証明書があるから離職票は不要、とはなりません。目的と交付先が異なるため、退職者が何を求めているのかを確認します。

源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書、雇用保険被保険者証も別の書類です。退職時の案内では、書類名だけでなく「何の手続に使う書類か」と「いつ渡せるか」を並べると、問い合わせを減らせます。

作成前に確認するもの

  • 退職者が証明を求める事項と受取方法
  • 入社日、退職日、休職・出向など在職期間に関係する記録
  • 雇用契約書、労働条件通知書、辞令、賃金台帳
  • 退職届、契約満了通知、退職勧奨または解雇に関する記録
  • 会社名、所在地、代表者名、発行日

退職者の氏名は在職時の登録だけでなく、現在の氏名を確認します。賃金の証明を求められた場合は、基本給だけか、諸手当や平均賃金を含めるかなど、必要な範囲を本人と確認してから記載します。

交付方法は、本人確認と誤送付防止を考慮して、窓口、郵送、本人が指定した安全な電子的方法などを決めます。退職理由や賃金を含む場合は個人情報になるため、宛先と添付ファイルを送信前に再確認してください。

よくある間違い

  • 退職証明書は会社に発行義務がないと思い、請求を断る
  • 離職票や離職証明書を渡せば代用できると判断する
  • 本人が希望していない退職理由や賃金、勤務評価を記載する
  • 自己都合、退職勧奨、解雇などを実際の経緯と確認資料なしに選ぶ
  • 会社独自の申請書や利用目的の説明を必須として発行を止める
  • 請求を受けた後、社内期限だけを理由に交付を長く先延ばしにする
  • メールの宛先を誤り、退職理由や賃金情報を第三者へ送る

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自社の状況に当てはめるときに迷いやすい点と、次に進めるページをまとめました。

よくある質問

退職者から請求されなければ退職証明書を自動で発行する必要がありますか?
労働基準法22条の交付義務は退職者から請求されたときに生じます。全員へ自動交付する法定書類ではありませんが、請求を受けた場合は会社が遅滞なく交付します。
会社は退職理由や賃金をすべて退職証明書に書いてよいですか?
すべて書くことはできません。使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職理由のうち、退職者が請求した事項だけを記載し、請求されていない勤務評価などは加えません。
離職票を退職者へ渡せば退職証明書の代わりになりますか?
代わりにはなりません。退職証明書は会社が在職期間や退職理由等を証明する書類で、離職票は雇用保険の基本手当等に使う書類です。目的と交付経路が異なります。

迷いやすいポイント

  • 退職者が証明を希望する事項だけを確認し、希望されていない情報を記載しません。
  • 入退社日、業務、役職、賃金、退職理由を社内記録と照合して正確に記載します。
  • 離職票・離職証明書など別の退職書類と混同せず、請求後は遅滞なく交付します。

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