離職証明書の書き方|賃金支払基礎日数・賃金額・離職理由

この記事の要点

雇用保険被保険者離職証明書の⑧~⑫欄について、期間の区切り方、賃金支払基礎日数、月給・日給の賃金額、離職理由と本人確認を整理します。

雇用保険被保険者離職証明書は、退職者の受給資格、給付額、給付日数などを確認する基礎資料です。特に間違えやすいのが、⑧・⑨欄と⑩・⑪欄の違い、賃金額のA・B欄、⑦欄の離職理由です。

賃金台帳の数字をそのまま並べるだけでは完成しません。退職日から区切る期間と、会社の給与締切日から区切る期間を分け、出勤簿や退職理由の資料と照合して記入します。

この記事は2026年9月4日時点の厚生労働省・ハローワークの案内を基にしています。給与形態の変更、長期休業、複数の賃金締切日などがある場合は、事業所を管轄するハローワークの最新案内も確認してください。

入力前にそろえる資料

  • 雇用保険被保険者番号と事業所番号
  • 退職日が確認できる退職届、辞令、雇用契約書など
  • 賃金台帳と給与明細
  • 出勤簿、タイムカード、有給休暇の記録
  • 就業規則や賃金規程
  • 解雇通知書、契約更新の記録など離職理由を確認できる資料

大阪のハローワークでは、賃金台帳と出勤簿を原則13か月分案内している例があります。ただし、賃金支払基礎日数が少ない月や長期休業があると、さらに前の期間や追加資料が必要になることがあります。

⑧・⑨欄と⑩・⑪欄の違い

記入する内容期間の区切り方
⑧ 被保険者期間算定対象期間雇用保険の被保険者期間を確認する期間離職日の翌日に応当する日を基準に、1か月ずつ遡る
⑨ ⑧の期間における賃金支払基礎日数⑧の期間で賃金支払の基礎となった日数⑧の各期間に対応させる
⑩ 賃金支払対象期間給与計算の対象となった期間会社の賃金締切日の翌日から次の締切日まで
⑪ ⑩の基礎日数⑩の期間で賃金支払の基礎となった日数⑩の各期間に対応させる

退職日と給与締切日が同じ会社では、⑧と⑩が似た日付になることがあります。しかし、制度上の役割は別です。期間を一度まとめて作らず、それぞれの基準から計算してください。

⑧・⑨欄は何か月分記入するか

一般被保険者は、原則として離職日前2年間のうち、⑨欄の賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上になるまで記入します。高年齢被保険者は、原則として離職日前1年間に6か月以上となるまで確認します。

11日以上の完全月が必要数に足りない場合は、10日以下の完全月について賃金支払の基礎となった時間数も確認します。離職日が2020年8月1日以降の場合、80時間以上の月を1か月として算定できる取り扱いがあるためです。

1枚に収まらないときは、古い月を省略するのではなく続紙を使用します。疾病や出産などで30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、確認対象期間を延長できることがあるため、証明資料を準備してハローワークへ確認します。

⑩~⑫欄は給与締切日を基準にする

⑩欄は、賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までを記入します。月末締めなら原則として月初から月末、20日締めなら前月21日から当月20日です。実際の給与支払日ではなく、給与計算の対象期間で区切ります。

⑩~⑫欄は、原則として⑪欄の基礎日数が11日以上ある完全月を6か月以上確認します。賃金締切日を途中で変更した月や、月給制から日給制へ変更した月は、期間と賃金形態を分け、変更内容を⑬備考欄へ記入します。

賃金支払基礎日数の数え方

⑨欄と⑪欄には、実際に出勤した日だけでなく、賃金支払の基礎となった日を記入します。

  • 有給休暇の日は基礎日数に含める
  • 半日勤務でも、賃金支払の基礎となる日は1日として扱う
  • 月の全日を支給対象とする月給制では、原則として暦日数で確認する
  • 日給・時間給では、実際に賃金支払の基礎となった日数で確認する
  • 欠勤控除のある月給制では、賃金規程に基づく支給対象日と控除日を確認する
  • 休業手当を支払った日は基礎日数に含め、休業日数と休業手当額を備考欄へ記入する

同じ月について⑨欄だけ暦日数、⑪欄だけ出勤日数にするなど、根拠の異なる数字を混在させないようにします。雇用契約書、賃金規程、出勤簿、賃金台帳の4つを照合すると確認しやすくなります。

⑫欄のA欄・B欄を分ける

賃金の決め方記入欄主な例
月、週など一定期間で決まる賃金A欄月給、週給、月額の通勤手当や家族手当
日、時間、出来高で決まる賃金B欄日給、時給、出来高給
AとBの両方があるA欄・B欄と計欄日給に月額の通勤手当が加わる場合など

月給者の時間外手当などが翌月払いでも、対象となる月の賃金へ算入します。複数月分の通勤手当をまとめて支払う場合は、対象月数で割って各月へ振り分けます。年3回以下の賞与など、3か月を超える期間ごとに支払う賃金は、通常の賃金額欄へ含めません。

離職月の給与が未計算の場合

離職月の賃金額がまだ確定していない場合、⑬備考欄へ「未計算」と記入して先に提出できる案内があります。この場合でも、出勤簿などから確認できる⑨・⑪欄の基礎日数は記入する扱いが案内されています。

給与確定後の報告方法はハローワークごとに異なる場合があります。未計算のまま終わらせず、管轄窓口が指定する方法で確定額を追加報告してください。

離職理由は「退職」だけで終わらせない

⑦欄では、主な離職理由を1つ選び、離職に至った原因と経緯を具体的事情記載欄へ記入します。

  • 自己都合退職:退職届と、本人から確認できた具体的事情
  • 契約期間満了:契約期間、更新回数、更新の明示、本人と会社の更新希望
  • 定年:定年年齢と継続雇用制度の有無を確認できる就業規則
  • 解雇・退職勧奨:通知日、離職までの経緯、解雇通知書など
  • 事業所の廃止:廃止日や事業活動停止を確認できる資料

会社が選んだ離職理由は、ハローワークの最終判定そのものではありません。会社と退職者の認識が異なる場合は、双方の主張と資料を基にハローワークが判定します。

退職者本人の確認を受ける

⑮欄では離職理由以外の記載内容を、⑯欄では会社が記載した離職理由を本人に確認してもらいます。離職理由は、賃金計算が終わる前でも退職日までに確認できます。

本人が帰郷した、連絡が取れないなど、やむを得ず確認を受けられないときは、その理由を記載して事業主氏名を記入します。電子申請では、本人の電子署名または記載内容を確認したことを証明する確認書などが必要です。

退職者から在職期間、業務の種類、賃金や退職理由などの証明を求められた場合は、雇用保険の離職証明書とは別に退職証明書の書き方・発行方法も確認してください。

よくある記入ミス

  • ⑧欄と⑩欄を同じ期間として扱う
  • 給与支払日を⑩欄の期間として記入する
  • 有給休暇を基礎日数から除く
  • 日給と月額手当をすべてB欄へまとめる
  • 11日未満の月があるのに、必要な月まで遡らない
  • 離職理由を「退職」とだけ記入する
  • 本人確認を受けず、その理由も記載しない
  • 未計算の賃金を確定後に報告しない

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読んだあとの確認

この記事と一緒に確認

自社の状況に当てはめるときに迷いやすい点と、次に進めるページをまとめました。

よくある質問

⑧欄と⑩欄は同じ期間を記入すればよいですか?
同じとは限りません。⑧欄は離職日の翌日に応当する日を基準に1か月ずつ遡り、⑩欄は会社の賃金締切日の翌日から次の締切日までを記入します。
有給休暇や半日勤務は賃金支払基礎日数に含めますか?
有給休暇は基礎日数に含め、半日勤務も賃金支払の基礎となる日は1日として扱います。月給・日給などの賃金形態と賃金規程も併せて確認してください。
離職月の給与が未確定でも離職証明書を提出できますか?
賃金額が未確定の場合は、⑬備考欄へ「未計算」と記載して提出できる案内があります。基礎日数を記入し、給与確定後は管轄窓口の方法で確定額を追加報告します。

迷いやすいポイント

  • 退職日基準の⑧・⑨欄と、給与締切日基準の⑩・⑪欄を分けて作成します。
  • 賃金台帳だけでなく、出勤簿、有給休暇、賃金規程と基礎日数を照合します。
  • 離職理由の具体的な経緯と確認資料をそろえ、退職者本人にも確認してもらいます。

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