社会保険 適用事業所名称/所在地変更届の書き方|5日の期限・管轄内外
この記事の要点
健康保険・厚生年金保険の適用事業所が名称や所在地を変えたときの届出について、5日以内の期限、年金事務所の管轄内・管轄外の判定、変更前の提出先、変更年月日、登記事項証明書などの添付書類を整理します。
「健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」は、社会保険の適用事業所が名称や所在地を変更したときに、事業主が日本年金機構へ提出する書類です。
会社の本店移転登記だけで社会保険の事業所情報がすべて自動的に更新されるとは限りません。また、社会保険の届出を出しても、労働保険や雇用保険の所在地変更が同時に完了するわけではありません。現在加入している保険ごとに必要な届出を分けて確認します。
この記事は2026年9月4日時点の日本年金機構の案内を基にしています。ここでは協会けんぽと厚生年金保険の一般的な適用事業所を中心に説明します。健康保険組合へ加入している場合は、組合独自の届出も確認してください。
まず「管轄内」と「管轄外」を確認する
所在地を変更するときは、変更前後の住所が同じ年金事務所の管轄に入るかで使う届書と提出先が分かれます。都道府県や市区町村が同じかどうかだけでは判断できないため、日本年金機構の管轄一覧で年金事務所を確認します。
| 変更内容 | 使用する届書 | 主な提出先 |
|---|---|---|
| 同じ年金事務所の管轄内で所在地を変更 | 管轄内用 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 年金事務所の管轄外へ所在地を変更 | 管轄外用 | 変更前の所在地を管轄する年金事務所 |
| 名称だけを変更 | 管轄内用 | 事務センターまたは管轄の年金事務所 |
| 管轄外への移転と同時に名称も変更 | 管轄外用 | 変更前の所在地を管轄する年金事務所 |
管轄外の届出は、変更後の年金事務所ではなく、変更前の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。届出後は新しい年金事務所へ引き継がれるため、同じ届書を変更後の年金事務所へ二重に提出する必要はありません。
提出期限は事実発生から5日以内
管轄内・管轄外のどちらも、提出時期は事実発生から5日以内です。ここでいう事実発生日は、届書を作成した日や登記が完了した日を機械的に入れるのではなく、事業所の名称・所在地が実際に変更された日を確認します。
移転では、登記上の本店移転日、賃貸借契約の開始日、荷物を移した日、実際に新住所で事業を始めた日が異なることがあります。社内の移転通知、登記事項証明書、賃貸借契約書などを突き合わせ、届書へ記入する変更年月日を決めます。
電子申請、郵送、窓口持参が案内されています。管轄外への移転手続中に別の届書を電子申請する場合は、その届書の備考欄へ名称・所在地変更届を同時に提出している旨を記載するよう日本年金機構が案内しています。
事業所所在地と本店登記住所を区別する
届出の対象は、健康保険・厚生年金保険の適用を受けている「事業所」の所在地です。本店登記を移しただけで実際の事業所は動いていない場合や、反対に実際の事業所だけを移して登記住所と異なる場合は、何が変わったのかを整理します。
事業所所在地が登記上の所在地と異なるときは、賃貸借契約書のコピーなど、その場所で事業を行っていることを確認できる資料の添付が案内されています。バーチャルオフィス、シェアオフィス、支店への移転などは、実態を確認できる資料を事前に揃えます。
主な記入項目
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 事業所整理記号・事業所番号 | 納入告知書や適用通知書にある変更前の番号を転記する |
| 変更年月日 | 名称または所在地が実際に変わった日を記入する |
| 変更前の名称・所在地 | 現在登録されている内容を省略せず記入する |
| 変更後の名称・所在地 | 郵便番号、フリガナ、都道府県、市区町村、番地、建物名を確認する |
| 法人番号 | 13桁の法人番号を確認し、会社法人等番号12桁と区別する |
| 事業開始年月日 | 管轄外移転で、新住所において事業を始めた日を確認する |
| 事業主情報 | 氏名・住所・連絡先を現状と一致させる |
フリガナは住所全体の読みを機械的に長く書くのではなく、公式様式の記入例と入力欄に従います。郵便番号、丁目・番地、建物名を別の情報として管理すると、転記時の重複や欠落を防ぎやすくなります。
所在地の数字やハイフンは、社内資料と登記で全角・半角が混在しがちです。意味が同じでも帳票の枠に合わせて正規化し、番地が抜けたり、「1-7-2」が「1 7 2 7」のように重複したりしないか、印刷したPDFでも確認してください。
添付書類を事業形態ごとに確認する
日本年金機構は、主に次の添付書類を案内しています。
| 事業形態・変更内容 | 主な添付書類 |
|---|---|
| 法人事業所の所在地・名称変更 | 法人(商業)登記簿謄本のコピー |
| 個人事業所の所在地変更 | 事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの) |
| 個人事業所の名称変更 | 公共料金の領収書のコピーなど |
| 登記上の所在地と実際の事業所が異なる | 賃貸借契約書のコピーなど所在地を確認できるもの |
法人登記簿謄本のコピーと住民票のコピーは、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものが必要です。住民票については個人番号を記載しないものを用意します。電子申請では画像ファイルで添付できますが、利用できるファイル形式は手続によって確認してください。
登記変更がまだ反映されていない、事業所の実態が登記と異なる、名称変更と所在地変更の日が違うといった場合は、同じ日付にまとめず、それぞれの事実と裏付け資料を整理します。
管轄外移転で起こる追加の影響
年金事務所の管轄を越えると、届出後に管轄が切り替わります。同一都道府県内では原則として届出日の翌月1日、都道府県外では届出日の翌月1日または翌々月1日から変更される案内ですが、受付日によって異なる場合があります。
協会けんぽに加入する事業所が都道府県をまたいで移転すると、健康保険料率が変わる場合があります。すでに徴収した保険料に過不足が出たときは、管轄変更後の納付で精算されることがあります。給与計算担当者にも移転日と管轄変更を共有します。
他の都道府県へ移転して資格確認書などの記載内容が変わる場合は、事業主が従業員から回収し、協会けんぽ支部へ返送する手続も確認します。同一都道府県内の所在地変更や名称だけの変更で、記載内容に変更がない場合は返納不要と案内されています。
他の住所変更届と混同しない
- 従業員本人の住所変更は、適用事業所の所在地変更ではありません
- 社会保険の名称・所在地変更届で、労働保険や雇用保険の住所は更新されません
- 新しい所在地へ移転しても、同じ事業所を継続するなら社会保険の新規適用届ではありません
- 支店を新設した場合は、単なる所在地変更ではなく新しい適用事業所に当たるかを確認します
- 事業主の氏名・住所などだけが変わる場合は、事業所関係変更(訂正)届など別の届書になることがあります
役員だけの会社で労働保険・雇用保険を設置していない場合は、加入している社会保険の所在地変更だけを確認します。存在しない労働保険番号や雇用保険事業所番号を入力させる書類は不要です。
よくある間違い
- 市区町村が同じなので管轄内だと思い込み、年金事務所の管轄を調べない
- 管轄外への移転届を変更後の年金事務所へ直接提出する
- 変更年月日に届書の作成日や登記完了日をそのまま記入する
- 登記上の本店住所と実際の適用事業所所在地を混同する
- 変更前の事業所整理記号・番号を確認せず空欄にする
- 法人番号13桁と会社法人等番号12桁を混同する
- 90日より前に発行された登記事項証明書や住民票を添付する
- 社会保険の届出だけで労働保険・雇用保険の変更も終わったと思う
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